
AIが供給網のリスクを予測、IBMが新基盤を提供開始
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、AIを活用して企業のサプライチェーン管理を支援する新ソリューション「Supply Chain Ensemble」を発表しました。地政学リスクや需要変動など、複雑化する供給網の課題に対応するため、2025年10月より国内企業向けに提供を開始します。
本ソリューションは、IBMのビジネス向けAI「watsonx」の技術を基盤としています。社内外に分散したデータをAIがリアルタイムで統合・分析し、サプライチェーンの管理者に対して具体的な対応策を提示することで、迅速な意思決定を後押しする狙いです。
ポイント
- 1社内外の分散データをAIが統合し、リアルタイムで影響を分析
- 2リスクを予測し、具体的な対応策を提示することで業務効率を改善
- 3需要予測と連携し、過剰在庫の削減など在庫管理を最適化
AIが導く、迅速な意思決定
日本IBMが提供を開始する「Supply Chain Ensemble」は、企業のサプライチェーンにおける販売、生産、調達、物流といった各プロセスのデータを統合管理するソリューションです。グローバル化や地政学リスクの高まりにより、サプライチェーンはますます複雑化しており、その混乱に対応する能力が企業に求められています。
このソリューションの大きな特徴は、AIを活用した高度な分析機能にあります。企業の持つ販売状況や在庫データといった内部情報に加え、サプライヤーのリスク情報や地政学リスクといった外部情報も取り込み、リアルタイムで影響を分析。これにより、管理者は供給網全体を俯瞰し、変化の予兆をいち早く捉えることが可能になります。
業務効率と在庫最適化に貢献
AIは、膨大なデータから将来起こりうるリスクを予測するだけでなく、具体的な対応策も提示します。例えば、需要の変化が生産計画や損益に与える影響を瞬時に算出し、最適な生産配分などを提案します。日本IBMによると、すでに導入した企業の事例では、管理担当者の業務効率が約10〜20%向上したケースも確認されているとのことです。
また、在庫管理の最適化にも強みを持ちます。AIが将来の需要や供給の変動を予測することで、適切な在庫レベルを維持し、供給量を調整します。これにより、過剰在庫を10〜15%程度削減できる効果が見込まれており、コスト削減とキャッシュフローの改善に貢献します。
日本IBMは今後、導入企業へのトレーニングやサポート体制を強化し、AI技術を駆使したソリューションで企業のデジタルトランスフォーメーションを包括的に支援していく方針です。
引用元:PR TIMES

O!Productニュース編集部からのコメント
サプライチェーンの複雑化は製造業だけでなく小売や物流にも直結する課題です。地政学リスクのような外部要因までを含めたAI分析は、従来のERPやSCMツールとの差別化ポイントとなりそうです。